- 公務員を辞めるのはもったいないと言われる
- 辞める勇気が出ないまま何年も経っている
- 残る損と辞める損のどちらが大きいか分からない
公務員を辞めるのはもったいないと言われますが、辞めずに残ることにも同じだけの損があります。
「安定を捨てるなんて」という言葉は、たいてい自分以外の誰かから届きます。
その言葉の重さと、実際に動いた場合の損得は、まったく別の話です。
ここでは現役の市役所職員である私が、辞める損と残る損を公的データの実額で並べ直します。
生涯年収・退職金・年金という、いちばん気になる3つの金額から確認していきましょう。

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「もったいない」と言われる理由

まず、なぜ「もったいない」と言われるのかを整理します。
ここは検索すればすぐ出てくる話なので、定性的な説明では終わらせません。
身分保障・給与カーブ・社会的信用の3つを、公的データの実額で確認します。
実額を押さえておくと、あとの章で「残る損」と釣り合わせて考えられるようになります。
反対する人が本当に守ろうとしているものも、ここで見えてきます。
安定と身分保障の中身

公務員の安定とは具体的にどういうものですか?



景気でボーナスが消えない点と、身分が法律で守られている点の2つです。
公務員の安定の正体は、景気に左右されにくい身分保障とボーナスの額が制度で決まる仕組みにあります。
- 身分保障法律で決められた理由がない限り、職を失うことがありません。
- ボーナス業績による増減がなく、「月給の何か月分」という形で毎年決まります。
※令和7年は4.65月分(人事院の令和7年勧告より・2026年8月時点)
この「決まった月数のボーナスが必ず出る」点が、民間との最大の違いです。
年功で上がる給与の実際



公務員の給料は、実際どのくらいの水準なのでしょう?



40代前半で、諸手当を含めて月41万円ぐらいが全国平均です。
公務員の給与は年功で上がるものの、上がり方はかなり緩やかです。
総務省の令和7年地方公務員給与実態調査によると、一般行政職の平均給与月額は41万3,968円でした(令和7年4月1日現在・2026年8月時点)。


同じ調査で平均年齢は42.0歳なので、この金額は40代前半の水準にあたります。
たとえば20代のうちは平均を大きく下回り、40代でようやくこの水準に届く形です。
年功カーブは「あとから回収する」設計になっています。
社会的信用という資産



辞めたら住宅ローンは組めなくなりますか?



順番を守れば大丈夫です!転職先が決まってから辞めるのが基本です。
社会的信用は住宅ローンや賃貸の審査で効いてくる、目に見えない資産です。
公務員は勤続と収入の安定が評価されるため、審査で有利になる傾向があります。
ただし、この信用は辞めた瞬間に消えるものではありません。
転職先が決まってから退職すれば、次の勤務先の信用に切り替わります。
たとえば内定を得てから退職届を出せば、審査で空白期間を問われることはありません。
逆に辞めてから探すと、無職の期間が審査の対象になってしまいます。


在職中に次を決めるという順番が、信用を守るいちばんのコツです。
その言葉は誰のものか


「もったいない」という言葉は、たいてい自分以外の人から届きます。
親・配偶者・同僚では、その言葉に込めた意味がそれぞれ違います。
誰が何を心配して言っているのかが分かると、受け止め方も変わります。
ここでは3者の本音を分解して、辞める勇気が出ない理由の正体を探っていきましょう。
引き止められたときの具体的な断り方は、専用の記事にまとめてあります。
親や配偶者が反対する訳



親にも妻にも反対されていて、話が進みません。



反対されているのは転職ではなく、収入変動のほうです。
親と配偶者の反対は、あなたへの心配と生活防衛が理由です。
親世代にとって公務員は、就職難の時代にもっとも安全な選択でした。
配偶者は世帯の家計を守る立場なので、収入が減る可能性に強く反応します。
たとえば「年収が下がるかもしれない」という一言に、家計の不安が全部乗っています。
私自身も転職を切り出したとき、最初に聞かれたのは志望動機ではなく手取りの金額でした。
逆に言えば、金額の見通しさえ示せれば話は前に進みます。
反対の正体は転職そのものではなく、数字の見えなさです。
年齢が上がるほど家族の反応は慎重になるため、40代・50代公務員の転職の現実と年収もあわせて確認しておくと話しやすくなります。
同僚が引き止める心理



同僚からも「もったいない」と言われて、気持ちが揺れます。



その言葉は職場を出ると効力を失います。中身を分けて考えましょう。
同僚の引き止めには、自分の選択を否定されたくない気持ちが混ざります。
同じ職場に残る人にとって、辞める人の存在は自分の選択への問いかけになるからです。
悪意ではなく、居心地の問題として出てくる反応だと考えてください。
実際に私の周りでも、辞めた人の話題は数か月で消えていきました。
引き止めの言葉は職場の中だけで通じる基準と捉えるのがおすすめです。
具体的な断り方や切り出す時期は、引き止められたときの断り方と退職の伝え方で詳しく解説しています。
他人の後悔と自分の後悔



辞めて後悔したという話を読むと、やっぱり怖くなります。



その後悔は、その人の年齢と転職先で起きたものです。条件が違います。
他人が語る後悔は、その人の条件で起きた後悔です。
年齢・家族構成・転職先の業界が違えば、結果はまったく変わります。
公務員を辞める勇気が出ないと感じるときは、誰の後悔を借りているのかを確かめてください。
たとえば40代で未経験の業界へ移った人の話は、30代で経験を活かす転職には当てはまりません。
借り物の後悔を外すと、判断材料は自分の数字だけになります。
残る選択を検討したい方は、公務員は転職しない方がいい?後悔しない判断軸もあわせてご覧ください。
辞めない場合に失うもの


ここからが本題です。
「辞める損」はよく語られますが、「残る損」はほとんど語られません。
残る選択にも、時間とともに静かに増えていくコストがあります。
3年後・10年後という年数の軸で、何が減っていくのかを整理します。
市場価値・年収カーブ・専門性という3つの軸で、残る損の中身を順に見ていきます。
数字で見えにくい部分なので、比較の軸を先に決めておきましょう。
3年後と10年後の市場価値



あと3年くらい様子を見ても、転職はできますか?



できます。ただし応募できる求人の種類が入れ替わります。
市場価値は年齢とともに下がるのではなく、選べる求人の種類が入れ替わるという形で変わります。
- 20代後半まで
未経験でも採用されやすい - 30代半ば
経験が問われる - 40代〜
管理経験や専門分野が中心
たとえば3年動かないでいると、ポテンシャル採用の枠から経験者採用の枠へ移ります。
失うのは価値そのものではなく、選択肢の幅です。
頭打ちになる年収カーブ



このまま公務員を続ければ、給料は上がり続けるのでしょうか?



50代で頭打ちになります。上振れの機会がない点が残る損です。
公務員の年収は50代で頭打ちになり、その後は下がる設計です。


総務省の令和7年地方公務員給与実態調査では、一般行政職の平均給与月額が41万3,968円でした(2026年8月時点)。
これは平均年齢42.0歳の水準で、ここからの伸び幅は限定的です。
一方、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、民間の正社員の平均給与月額は39万900円で同じぐらいです(令和7年6月分・2026年8月時点)。
しかし、民間には評価や転職で年収が動く余地があり、そこが最大の違いです。


公務員の給与は条例と給料表で決まるため、個人の成果で大きく変えることができません。
たとえば同じ部署で人の倍働いても、反映されるのは勤勉手当のわずかな差にとどまります。
この仕組みは働きすぎを防ぐ一方で、頑張りが積み上がりにくいという側面も持っています。
安定と引き換えに、上振れの機会を手放している面があります。
異動で消える専門性



公務員の経験は、外では評価されないのでしょうか?



評価はされます。ただし1つの分野を続けた年数が問われます。
数年ごとの異動は、積み上げた専門性を定期的にリセットします。
税務・福祉・都市計画と担当が変わるたびに、知識の使い道が変わるためです。
民間の求人が求めるのは、1つの分野を続けた経験であることが多いです。
そのため職務経歴書に書ける軸が、勤続年数のわりに増えていきません。
たとえば10年勤めても、3つの分野を3年ずつという書き方になりがちです。
異動の多い職場ほど、この目減りは早く進みます。
実際にどれだけの人が辞めているのかは、47都道府県の市役所離職率データで確認できます。
辞めた側がその後どうなったかは、公務員を辞めてよかった人の実際にまとめました。
もったいなさを数字にする


ここでは「もったいない」を金額に置き換えます。
公務員から転職するのはもったいないと感じる正体は、たいてい生涯年収と退職金です。
その2つに年金を加えた3点を、公的統計の実額で並べていきます。
計算の前提と根拠も本文に書くので、自分の条件に置き換えて使ってください。
出典はすべて国と省庁が公表した資料です(2026年8月時点)。
生涯年収の差を試算する



公務員と民間では、生涯でどのくらい差が出るのでしょうか?



平均どうしの単純計算なら、38年で約3,943万円の差になります。
公務員と民間正社員の年収差は、単純計算で年100万円ほどです。
公務員側は月額から積み上げた試算、民間側は国税庁が公表した年収の実額で比べています。
公務員側は、総務省調査の平均給与月額41万3,968円を12か月分にして、賞与の約152万円を足すと年収は約649万円です。
なお、賞与は、諸手当を除く給料月額(約32万7千円)に人事院の令和7年勧告の年4.65月分を掛けて、約152万円としています。
一方、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査では、正社員の平均年収は545万円でした。
差は年103万7千円ほどで、22歳から60歳までの38年分に広げると約3,943万円になります。
| 比較の軸 | 地方公務員(一般行政職) | 民間の正社員 |
|---|---|---|
| 年収の概算 | 約649万円 | 545万円 |
| 38年間の合計 | 約2億4,653万円 | 約2億710万円 |
| 差額 | 約3,943万円多い | ー |
表のとおり、生涯で見ると約3,943万円の差が出ます。
ただしこれは平均どうしの比較で、転職先の業界や役職はまったく反映していません。
民間の平均には非正規を含まない代わりに、企業規模も業種もすべて混ざっています。
国税庁の同じ調査では、正社員以外の平均年収は206万円でした。
つまり民間の中でも、雇用の形で300万円以上の開きがあるということです。
転職で見るべきなのは平均値ではなく、自分に提示される具体的な年収です。
辞める判断は「平均に戻る」のではなく、自分の条件で上下すると考えるほうが実態に近いです。
退職金と年金の実額



退職金は、公務員と民間でそんなに違うものですか?



定年まで勤めた場合の水準は、国・地方・民間で大きくは離れていません。
定年まで勤めた場合の退職金は、国・地方・民間で近い水準です。
| 区分 | 定年退職の平均支給額 | 出典(対象・年度) |
|---|---|---|
| 国家公務員 | 2,147万3千円 | 内閣人事局「退職手当の支給状況」(常勤職員・令和5年度) |
| 地方公務員 | 2,114万9千円 | 総務省「令和7年地方公務員給与の実態」(一般職員・令和6年度) |
| 民間 | 1,896万円 | 厚労省「令和5年就労条件総合調査」(大学・大学院卒・令和5年) |
年金についても触れておきます。
平成27年10月の被用者年金一元化により、共済年金は厚生年金へ統一されました。
同時に共済年金の職域加算は廃止され、代わりに年金払い退職給付が設けられています。
出典は日本年金機構の「被用者年金制度の一元化」です。
つまり年金面での公務員の有利さは、現役世代ではかなり縮まっています。
年金でも退職金でも、「辞めたらもったいない」と言い切れるほどの差は残っていません。
手取りで比べ直す



額面が同じなら、手取りも同じになりますか?



ほぼ同じです。差が出るのはボーナスと、残業代の払われ方のほうです。
額面の差ほど手取りの差は開きません。
一元化以降、公務員も民間と同じ厚生年金に加入しているためです。
保険料の仕組みが共通なので、額面に対する手取りの割合はほぼそろいます。
差が出るのは、ボーナスの支給月数と残業代の払われ方です。
たとえばサービス残業が常態化していると、実際に働いた時間あたりの手取りは大きく下がります。
私自身が経験した繁忙期の実態は、残業100時間だった市役所の記録に書いています。
残業の実態は自治体で大きく異なるため、市役所のブラック度と残業時間ランキングも確認しておくと判断しやすくなります。
比べるべきは額面ではなく、働いた時間あたりの手取りです。
迷ったまま動けない人へ


数字がそろっても、すぐに動けるわけではありません。
ここでは、辞めずにできることだけを3つに絞って紹介します。
市場価値の測り方・情報収集で得る材料・家族に見せる材料の順に取り上げます。
どれも在職のまま進められ、途中でやめても不利になりません。
家族に見せる材料を作るところまでが、この章の目標です。
転職活動と転職は別物だという前提で読み進めてください。
辞めずに市場価値を測る



自分の市場価値は、どうやって測ればいいのでしょう?



求人票の提示年収と、エージェント面談の2つで測れます。
市場価値は求人票と面談の2つで測れます。
求人サイトで自分の年齢と経験に合う求人を検索すると、提示年収の幅が見えてきます。
次に、公務員出身者を扱った実績のあるエージェントと面談すると、書類の通りやすさが分かります。
どちらも在職のまま無料でできます。
たとえば提示年収が現在と同水準なら、家族への説明は一気に楽になります。
反対に提示年収が大きく下がるなら、いま動かないという判断にも根拠ができます。
どちらに転んでも、測った事実そのものが材料として残ります。
測ってから決めるという順番にすると、迷う時間が減ります。
どの業界が候補になるかは、公務員の転職先おすすめ5業界で整理しています。
やりがいの整理から一緒に進めたい方は、無料の転職相談を使う方法もあります。
\ 辞める前に市場価値を無料で確認 /
情報収集だけで得る材料



応募まではしたくないのですが、それでも意味はありますか?



あります。情報を集めるだけで、残る判断の材料もそろいます。
情報収集だけでも、判断に必要な材料はそろいます。
職務経歴書を1枚書いてみると、自分の経験がどこまで言語化できるか分かります。
志望先の残業時間や有給取得率は、自治体や企業の公表資料で調べられます。
市役所間の異動を考えるなら、市役所の経験者採用枠の要件を先に見ておくと動きやすいです。
同じ公務員のまま環境を変える場合の利点は、市役所から市役所へ移るメリットで整理しています。
職場環境そのものを比べたい方は、働きやすい市役所ランキングも参考になります。
集めた材料は辞めない判断をするときにも役に立ちます。
家族に見せる材料を作る



家族を説得するには、何を用意すればいいですか?



年収の幅・退職金の見込み・勤務時間の3つを紙に書き出してください。
家族の反対は、数字を見せると和らぎます。
感情で説得しようとしても、生活防衛の不安には届かないためです。
次の3つの数字を書き出してください。
- 提示年収の幅
- 退職金の見込み
- 転職先の勤務時間
たとえば「年収は同水準で、残業は月20時間減る」という形にすると、話が具体的になります。
市役所から市役所への転職を検討するなら、市役所から市役所への転職の進め方も候補に入ります。
反対の理由は不安なので、不安を数字に置き換えるのが近道です。
よくある質問
最後に、この記事によく寄せられる質問をまとめておきます。
- 公務員を辞めるのはもったいないですか?
-
辞める損と残る損の両方を並べないと判断できません。
身分保障と社会的信用は確かな価値ですが、異動による専門性の分散や年収の頭打ちも同時に進みます。
どちらが大きいかは年齢と家族構成で変わるため、金額に置き換えて比べるのがおすすめです。
- 公務員を辞めて後悔した人はどれくらいいますか?
-
割合を示した公的な統計は、2026年8月時点では確認できませんでした。
そのため数字での断定は避けます。
後悔の中身は年収減と人間関係の変化に分かれる傾向があり、実際の声は公務員を辞めてよかった人の実際にまとめています。
- 公務員を辞める勇気が出ないときはどうすればいいですか?
-
辞める決断より先に、転職活動だけを始めてください。
求人検索とエージェント面談は、在職のまま無料で進められます。
材料がそろうと、勇気ではなく比較で決められるようになります。
- 公務員は失業保険がもらえないって本当ですか?
-
公務員は雇用保険の適用対象外のため、原則として失業給付はありません。
その代わりに退職手当が支給される仕組みになっています。
退職後の空白期間を作らない計画が、民間以上に大切です。
- 40代で公務員を辞めるのはもったいないですか?
-
40代でも、残る損と辞める損を金額で並べてから判断するのがおすすめです。
勤続年数と求人の条件を並べたうえで判断したい方は、40代・50代公務員の転職の現実と年収もご覧ください。
まとめ|もったいないの正体


「もったいない」の正体は、他人の基準で測った損得です。
自分の基準で測り直すと、残る損と辞める損の両方が見えてきます。
そしていちばん見落とされているのが、動かないまま選択肢が入れ替わっていくことです。
年齢・勤続年数・家族構成の3つで、答えは1人ずつ変わります。
だからこそ、他人の「もったいない」を自分の答えにしないでください。
- 「もったいない」は他人の基準
- 一般行政職の平均給与月額は41万円台
- 定年退職の退職金は民間と近い水準
- 年金の優位は一元化で縮小
- 残る損は選択肢の入れ替わり
公務員を辞めるかどうかは、今日決めなくて構いません。
決めるために必要なのは、勇気ではなく比較できる材料です。
まずは求人を眺めるところから始めてみてください。
私の経験が、判断の材料になれば幸いです。
「もったいない」と感じる原因の多くは、情報が足りないことによる思い込みです。
無料で相談できる場を使って、自分に合う求人があるかどうかだけでも確かめてみましょう。
なお、第二新卒に特化した支援を選ぶ方法もあります。
求人紹介から書類や面接の対策まで、費用をかけずに利用できます。
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